One Night...

仕事を終えて、ご飯を食べてお風呂に入って一休みする。

エンジンに火を入れ、峠へと向かう。
通勤では使わないような回転域、速度域で、ただひたすらに自分の理想を追い求め、車という機械と会話し、またわかろうとする。

どれだけ経っただろうか。
どれだけ走っただろうか。

集中力は消耗し、気づけば少し空腹になっている。
帰路へとつき、コンビニでオニギリを食べ、ベッドで眠る。

酒もタバコも、服やCDも何も、いつもなら鳴らなくて不安になる携帯も。
何も気にならない。何も要らない。

走っている時ばかりは、走った夜ばかりは、僕は満たされている。
ある夜、僕は充足している。