ドラッカーのマネジメントを読んでみる No.1

われわれは、企業人たるものはごまかしたり、盗んだり、嘘をついたり、贈賄したり、収賄したりしてはならないと厳かに言える。

しかしこれは、企業人のみならず、誰もがしてはならないことである。いかなる人間といえども、その職務や仕事によって、人間行動の一般的なルールの適用を免れることはできない。企業の副社長、市の助役、大学の学部長に任命されることによって、人間でなくなるわけでもない。しかも、ごまかしたり盗んだり嘘をついたり、贈賄したり収賄したりする人間というものは、常に存在する。

これは、企業ではなく、個人、家庭、学校の道徳観に関わる問題である。ビジネスの倫理というものが別にあるわけではない。必要なことは、企業の重役であれ誰であれ、誘惑に負けたものを厳しく罰することだけである。


『マネジメント[エッセンシャル版]−基本と原則』/P.F.ドラッカー
P.111より転載


企業や政治家、商売人がしてはいけないと思われていることがあるが、そんなことはない。そのほとんどが企業や商売人だけでなく、誰もがやってはいけないことである。

家庭と地域、学校そのどれもにおいて、やってはいけないことや守らなければならないルール、モラル、それらを考え学び取らせるのが本来の教育ではないだろうか。

我が国では、政治家が本質的に国民のためになることではなく私利私欲を目的とし、企業では粉飾や虚偽表示等が耐えない。
これでは、諸外国に日本国の教育や人としての学が、まともなものではないと思われても仕方ない。私自身、この国の現在の教育という概念は異常さを感じている。

官民と地域、家庭が力を合わせ、目先の問題ではなく本当の意味での教育にこそ力を入れなければ、日本は衰退の一途を辿ることは確実である。